元気が出る本まとめ ~好きを仕事に編~

様々なクリエイターがセレクトする元気が出る本ですが、私も一人のクリエイーターとしてセレクトして頂いた本の内容が気になり読んでいます。
いろいろな本を読み進めるうちに”本の共通点”について気が付きました。
創造する者同士が抱く共通点があることも納得できます。

紹介するのは好きを仕事に、関連する本です。
このジャンルを考えるきっかけになった本を紹介します。

宮脇修一さんは日本の造形作家・模型師であり、海洋堂株式会社の創業者の一人です。
幼少期から模型製作に興味を持ち、高校卒業後はアニメーション会社に入社し、アニメーション制作に携わっていました。
1990年代にアニメーション業界が低迷期に入ると、彼は模型制作に転向し、1998年に海洋堂株式会社を創業、現在は同社の代表取締役社長を務めています。
プラモデルやフィギュアなどの玩具製造会社であり、特にキャラクターソフビの分野ではトップクラスのシェアを誇っています。
宮脇氏は、海洋堂の製品企画や開発に携わるとともに、自身も模型の制作を手掛けています。また、生物学や進化論にも深い関心を持っており、海洋生物をモチーフとした作品や、恐竜のフィギュアなども手掛けています。
作品は、造形の精密さや緻密さが高く評価されており、国内外の模型ファンから高い支持を得ています。

海洋堂は、フィギュアという日陰者の趣味を、自分たちの質の高い技術で絶対的なものに昇華させ、一般人にも受け入れやすい空気を生み出した。
海洋堂に集う造型師たちは、基本的に社会人として不合格なダメ人間であるが、好きなことを突き詰めて絶対的なものに仕上げ、自社の商品に対する絶対的な自信と誇りを持ち、商品がよければマーケティングは不要だと考えている。
他者の目を気にせず、あるべき姿ではなくこうありたいという思いを大切にしており、過程を楽しむことが大事であると考えている。
宮脇氏は海洋堂の成功を、運がよかったことに帰することも認め、宮脇氏がバクチ打ちのような人生を送ったにもかかわらず成功できたのは、”模型の神様”に愛されたからだと考えている。

「好きなこと」だけで生きぬく力
出版社 WAVE出版
著者 宮脇 修一

オススメする人
古賀学様

オススメするコメント
世界的フィギュアメーカー「海洋堂」の社長である宮脇修一氏によるビジネス書風のビジネスにはまったく役に立たない本。
世間のニーズに応える商品開発をするマーケティング感覚は全くなく、自分たちが愛情を注ぎ込む模型を世間に向かって「どや!」っと問う姿勢。
まっすぐな芸術の形、かっこいいです。

オススメ人の情報
WEB
http://peppergear.com/

次に紹介するのはスティーヴ・ジョブズの本です。
1955年にアメリカ合衆国のカリフォルニア州に生まれた起業家・技術者であり、世界的なコンピュータ企業であるアップルの共同創業者の一人です。
ジョブズは、革新的なデザインと技術の融合によって、コンピュータやモバイル端末、音楽プレーヤーなどの分野で多くの成功を収めました。
代表的な製品としては、Macintoshコンピュータ、iPod、iPhone、iPadなどが挙げられます。
自分自身をクリエイティブな人間として位置づけ、常に「常識にとらわれない」考え方やデザインを追求してきました。
徹底的に製品にこだわり、ユーザーのニーズに応えることを大切にしていました。
この姿勢やビジョンにより、アップルは現在でも多くのファンを持つ人気企業となっています。
しかし、一方で彼は非常に厳しい性格でもあり、周囲の人々に対してストイックな要求を課すことがありました。
一度アップルから追放されたこともあり、彼のリーダーシップには賛否両論があります。
ジョブズは2011年に膵臓がんで亡くなりましたが、その後もジョブズのビジョンや哲学は多くの人々に影響を与え続けています。

シンプルさが好まれる理由や、アップルのシンプルさの成功の基盤となっていることに焦点を当てています。
シンプルとは製品のデザインに限らず、概念、アイデア、プロセスにもなり得るはずです。
しかし、シンプルになることは簡単ではなく、多くの場合に実現するためには多大な労力が必要であり、シンプルなデザインやアイデアをより多くの人々に理解されやすくなるため、擁護者が必要であることも強調されています。
業界や職種を問わず、シンプルさはコミュニケーションにおいて重要であり、多くの人々が理解できることを再確認する機会を与えてくれる。

Think Simple
出版社 NHK出版
著者 ケン・シーガル,林 信行 (監), 高橋 則明 (訳)

オススメする人
フルタヨウスケ様(アーティディレクター・グラフィックデザイナー・写真家・映像監督)

オススメするコメント
アップルをつくったスティーヴ・ジョブズと共に広告制作をしていたクリエイティヴ・ディレクターの本。
実際に彼がジョブズとの仕事で体験した『信じるものを突き通す強さ』に背中を押され、励まされます。

オススメ人の情報
WEB
http://anpw.cc/about.html

http://photography.anpw.cc/

Twitter
https://twitter.com/nukumori1974

もう一人のアップルの創業者の本も紹介します。
スティーブ・ウォズニアックは、アメリカ合衆国の技術者、起業家、パーソナルコンピュータの先駆者として知られています。
彼は、1976年にApple Computerを創設し、Apple IIというパーソナルコンピュータを開発しました。
高校時代にエレクトロニクスに興味を持ち、自分でラジオやテレビを修理していました。
Apple Computerを共同創業する前に、ウォズニアックは自分の時間を使って、自分のコンピュータを開発しました。
Apple IIは、Apple Computerの最初の成功作であり、その後、同社はMacintoshやiPhoneなど、多数の革新的な製品を開発しました。

スティーブ・ウォズニアックは幼少期に人見知りで、父親がエンジニアであったため、自然とエレクトロニクスに興味を持ち、友達に自作の電子部品を見せたり、賞を獲得したりして過ごしていた。
Apple Iを作る前にも、非常に若い頃からプリミティブな回路を組んで自作のコンピュータを作っていたと言い、紙に設計図を書き、最適化を試したこともありました。
Apple IIは、ウォズニアックがひとりで作り上げた製品で、ジョブズがいなければアップルは存在しなかったでしょう。
好きなことをやり、世界を変え、お金と名誉を手に入れた時代の選ばれたエンジニアです。
猛烈なインプットなしに驚異的なアウトプットはありえないと説明しています。
経験と蓄積からくる洞察力と、それを習得する忍耐力を重視することが彼の指摘の中で最も重要であり、どんなジャンルでも何かを成し遂げようとする上で絶対に重要なことです。

アップルを創った怪物 もうひとりの創業者、ウォズニアック自伝
出版社 ダイヤモンド社
著者 スティーブ・ウォズニアック、井口 耕二 (訳)

オススメする人
吉井宏様

オススメするコメント
ジョブズ関連の本を何冊も読みあさり、カッコイイなあとあこがれたり影響されたりもしたのはみなさんと同じだと思います。
しかしその後、ウォズニアックの自伝を読んだら、彼のほうがぜんぜん幸せで楽しそうな人生じゃん! と思いました。こっちのがいいや、と。

オススメ人の情報
WEB
http://www.yoshii.com/

田宮俊作は、日本の実業家で玩具メーカーの株式会社タミヤの創業者です。
1925年に静岡県に生まれ、戦後の混乱期において父親の金物店を手伝いながら、独学で金属加工技術を学びました。
1951年には自らが経営する工場を開設し、1953年には自社ブランドのミニカー「Tamiya Model」を発売しました。
その後もタミヤ社は、革新的な製品を次々に発売し、ラジコンカー、プラモデル、ミニ四駆、エアソフトガンなど多岐にわたる分野で世界的な知名度を得ることになりました。
自らが開発した製品の設計や製造に熱心に取り組み、また若手社員の育成にも力を注ぎ、その姿勢はタミヤ社の経営哲学として受け継がれ今日に至っています。
2012年に逝去しましたが、その業績や人となりは多くの人々に尊敬され、愛され続けています。

タミヤ模型の社長による「模型作りの人生」についての物語です。
非常に楽しい子供っぽい情熱の持ち主であり、木製の模型キットを作っていましたが、世の中はプラスチックの時代でした。
金型が高価であり、一つの模型を作るのにどれだけの苦労があったか。
工場の火災事故を経て、日本を代表する模型会社になるまで苦労しましたが、まったく悲観的ではありません。単純に模型が好きでしたから。
好きなことを仕事にできるという幸せ。
模型作りには徹底性があり、資料がない場合でも、戦車や他の模型に関する情報を集め本物に近づけるためにあらゆる手段を使いました。
ソ連の戦車情報が全くない時代に、その戦車がイスラエル軍に捕獲されたと聞くと、田宮氏はすぐにイスラエルに飛び、戦車の写真を何枚も撮りました。
同様に、アメリカにある戦車展示場で数百もの戦車を撮影し、最後には警備の兵隊ともトラブルになりました。
子供っぽいが、仕事を楽しみ、こだわりを徹底的に追求する田宮氏の姿が目に浮かびます。

田宮模型の仕事
出版社 文春文庫
著者 田宮 俊作

オススメする人
柴崎祐二様(音楽ディレクター,評論家)

オススメするコメント
好きを仕事にするということ。
「仕事にした時点で好きだけではいられない」「好きなことを仕事にするとかえって辛いぞ」。
今まで星の数ほど多く吐かれてきた同工異曲のそういう「アドバイス」は、この本を読むことを通じてあなたにとってまったく意に介する必要のない戯言となるだろう。
「働くこと」を奪い返せ!

オススメ人の情報
1983年埼玉県生まれ。音楽ディレクター/評論家。
2006年よりレコード業界にてプロモーションや制作に携わり、多くのアーティストのA&Rを務める。
現在は音楽ディレクターとして活動する一方、各所へ寄稿。
編共著に『オブスキュア・シティポップ・ディスクガイド』(DUブックス、2020)、連載に「MUSIC GOES ON 最新音楽生活考」(『レコード・コレクターズ』)、「未来は懐かしい」(『TURN』)など。

WEB
http://shibasakiyuji.hatenablog.com/

Twitter
https://twitter.com/shibasakiyuji