846.荒野の呼び声(岩波文庫)

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庄野祐輔様

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基本的に元気がない。
年々元気が失われていっているように思う。
だからと言ってどうしようもないわけだが…。
本で元気がもらえるかといえば、もらえることもあるだろう。
それどころか書物は人とは別の形をした生命(元気の源)だと思っている。
それが際立つのは、人間でもそうだが、平凡な日常ではなく極地、やはり生と死の境目においてではないだろうか。
だから人は死が登場する物語を好むのだ。
ところで、この「元気」というお題で今日紹介する本の主人公は人間ではない。
一匹の犬である。厳しい自然へと解き放たれたれた犬が野生を取り戻す様をその犬自身の視点から描いた名作だが、獣の持つ生き延びる力が極めて深い洞察力を持って描かれている。
このフィクションへ入って行くとき、私たちはその獣の思考の軌跡を一緒に辿る。
そしてその道は自分自身の中にある隠された野生へと繋がっている。

オススメ人の情報

著者などの情報
ジャック ロンドン
海保 眞夫 (訳)

更新日
03/09/2015