山崎阿弥

1125.クォンタム・ファミリーズ(新潮社)


オススメするコメント
様々な可能性・選択肢・パラレルワールドといったものは、選ばなかった物も、選んだ物も、空想の域を出なかった物も、それらが際限なく存在し得たとしても、その材料となる“私”は一つしかない。
材料として、“私”はそれ以上でもそれ以下でもない。今の自分の限界と充満に勇気を持ちました。

《追記》
この本のページを閉じたとき、光の強く射す街で午後の散歩に出たことを思い出しました。
バルセロナの、大きな木が立つ小さな公園のベンチで読書をしていた私は何となくページが進まず、散歩に出ようと決めます。
ベンチの後ろ側から公園に入ったので、ベンチの前側から先は未知の世界です。
腰を上げる瞬間「生まれる前から世界は存在していたけれど、私が踏み出すことで、世界が出来ていくんだ」と、気づき、静かな驚きを得ました。
それは世界が人間の認識に従属するという意味ではなく、世界と私が手を取りあって踊るような、踊っているうちにダンスホールとして街が出来上がっていくような、そんな感覚でした。『クォンタム・ファミリーズ』はその散歩を思い起こさせてくれました。

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