中野裕介(パラモデル)

349.トットの欠落帖(新潮文庫)


オススメするコメント
富士山を見て
「本当に奇麗ねえ!…この山、なんていう山です?」
水平線に沈む夕日を見て
「ねえ、明日の朝、早く起きて、ここで太陽の昇るところ、見ましょうよ!」
等々、言わずと知れた黒柳徹子さんの珍エピソード集。
あるべきものが抜けていること=「欠落」ゆえに生まれる豊かさ・可笑しさのオンパレードに、うっかり系人種は勿論、あらゆる失敗に落ち込む人々は誰も(「欠落」の無い人など何処にもいないのだから、畢竟それは全人間です)、心底から励まされる事でしょう。

350.コンビニのない町の義肢メーカーに届く感謝の手紙(日本文芸社)


オススメするコメント
困難を抱える人々を、純粋に支える為だけにある不思議な創造物。
島根県・石見銀山の麓の義肢装具会社「中村ブレイス」の、そんな製品達に助けられた方々の34通の美しい手紙と共に、社長がその精神を赤裸々に語る本です。
働く意義とは「数字」の結果より、まず「お客様に喜ばれる」細やかな配慮であり、行為である。
決して急ぐことなく、独特な路線で優しい道を切り開く姿に強く勇気づけられます。
製作現場を見学に行った際の、社長や働くスタッフ方の充実した佇まい、風通しの良さが何より忘れられません。

351.傷と出来事(河出書房新社)


オススメするコメント
「私の傷は私以前に存在していた、私は、その傷を受肉するために生まれてきたのだ」
20世紀最大の哲学者ジル・ドゥルーズが生涯において幾度も(死の直前の論文の末尾に至るまで!)、最上の思想者として参照する、第一次世界大戦で負った傷の為、終生半身不随となったフランスの詩人・ジョー・ブスケの初の邦訳本。
生の持つ痛みや葛藤、その運命の深淵から詩を紡ぎ出し、「傷にふさわしい者になること」を希求する真に創造的な衝動は、奇妙に透明で、軽やかな歓喜に溢れています。

オススメ人の情報
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