長谷川維雄

2231.なぜ私だけが苦しむのか 現代のヨブ記(岩波現代文庫)

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早老病の子を持ったユダヤの僧侶が運命と苦難について自問する実話。
自業自得観が根強い日本では理不尽な不幸に因果の解釈を求めがちだが、この本は価値判断を保留して現実と向き合う静かで忍耐強い人生観、外界に補償を求めない不動の善良さを保つ道標となる。
宗教色のある本なので初見で敬遠してしまう人もいるかもしれないが、読み深めれば耐え難い出来事に直面したとき誰しも囚われる一般的な問題とわかる。
そういうの苦手な人向けに似た趣旨では、より分析的な『人はなぜ物語を求めるのか』(千野帽子)や、実践的な『自己変革の心理学』(伊藤順康)もオススメ

自己変革の心理学 論理療法入門 (講談社現代新書) [ 伊藤順康 ]

2232.死してなお踊れ 一遍上人伝(河出書房新社)

オススメするコメント
なんでも激しい曲を聴く人ほどストレス耐性が強いという研究があったが、これはまさにメタルかパンクのような読み心地の本。
教養として一遍上人を知る本としては賛否がわかれるかもしれないが、この著者の文体はパワーワードの宝庫で問答無用のエネルギーが注入される。
同著者の『村に火をつけ白痴になれ?伊藤野枝伝』もゲラゲラ笑いながらあっという間に読み終えた。

村に火をつけ、白痴になれ 伊藤野枝伝 [ 栗原康 ]

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